2019年2月16日放送分
■2020年2月16日放送のテーマは「儲かる人集め」
・人手不足の今だから、儲かる人集めをしている会社の話
ゲストは経済評論家の森永卓郎氏と、青山学院大学陸上部監督の原晋氏です。
儲けるチャンスがあっても、人がいなければビジネスは動きません。
ところが今の日本では人を集めるのが大変、人材確保が企業の死活問題になっていて、人手不足で倒産する会社の数は過去最高の状況です。
しかし他人が気づかないところに目を付け、人集めで儲けている会社があります。
番組では、独自の視点で人を集めて成功している3つの会社を紹介しています。
1.フリーランスの美容師が一等地に店を持てる!
~美容室のシェアオフィス「GO TODAY SHAiRE SALON」
2.面接なしですぐ働ける~スキマバイトアプリの「Taimee」
3.建設業界を救ったニート~「南富士」
■フリーランスの美容師が一等地に店を持てる!~美容室のシェアオフィス「GO TODAY SHAiRE SALON」
・美容室の集まる賃貸マンションの大家さん
「GO TODAY SHAiRE SALON」は東京都渋谷区にある会社です。
資本金は3億4,825万円 売上は、契約する美容師の売上計で約5億円(番組内インタビューで)
事業内容は、フリーランスの美容師にシェアオフィス形式で店舗を提供しています。
いわば、美容師の集まる賃貸マンションの大家さんといったところです。
<会社URL https://www.shairesalon-go.today/charge >
「美容室のシェアオフィス」は、美容師側のメリットと、会社側のメリットが上手く合致してがっちり! 番組では儲かる秘密を探っています。
▲儲かる3つの理由は、すべてが美容師のニーズ
儲かる3つの理由は、すべて美容師のニーズに合致しています。
<儲かる3つの理由>
1.開店費用、店舗維持費が要らない しかもお店は一等地
2.好きな時間に働ける~店がないから拘束もない
3.増収と経費節減の両方が実現できるから儲かる!
1.開店費用がいらない お店は一等地で駅近!
シェアオフィスなので、開店費用や店舗維持費はかかりません。
大池副社長
「自分で店を出すと1,500万円くらい資金が必要で、借入するのが普通ですが、
(当社の形態なら)リスクを負わずに独立ができるのが一番のメリットですね」
契約の基本形態は初期費用1万円、月々利用料2万円プラス売上げの20%です。(実際には3つの契約プランがあり、規模や立地などで選べます)
副社長
「ドライヤーや、シャンプー、タオルなど、ハサミ以外は全てあります」
イス、シャンプー台、鏡など美容室の設備とスペースは完備されているので、
美容師はハサミと身体一つあれば、すぐ仕事ができます。
これは、実に美容師さんのニーズを突いたシステムだと思います。
<もちろん各美容師が使いたい薬剤や備品も持ち込めます。そのための個人ロッカーも用意しています。(中略)タオルの洗濯や釣り銭の準備も必要ありません。(中略)利用する美容師のことを考え抜きました。
引用 会社HP https://www.shairesalon-go.today/features >
原則一人で仕事をしますので、フリーランスの美容師にとっては非常にありがたい仕組みです。たとえば下線を引いたタオルの洗濯の部分はよくわかります。
なぜよくわかるのか?
それは私の実家が理髪店、おばさんも美容師という、理美容一家だからです。
<余談ですが 理髪店の息子の実体験>
理髪店と美容室では毎日大量のタオルを使います。整髪料を使う、顔を拭くなど用途もさまざまで、何種類も、また何回にも分け洗濯し、それを干して、乾いたら畳んで、とものすごく手間がかかります。
実家は家族経営だったので、子供の頃からタオルは私の担当でした。タオルは基本的に手作業なので、実は負担が大きい作業です。お店が混んだときなど、私は一日中タオルの支度と掃除で終わったことが何度もあります。これは自営業の子供なら仕方ないですが、休みの日も手伝いで友達と遊べないこともありました。
また、おばが美容師なのでわかるのですが、タオルの使用量は美容室のほうが多いです。長くなりましたが、経験者なのでタオルの支度が大変だと知っています。それを準備してくれているところに、美容師思い、美容師のことがよくわかっていると感じたのです。
・お店は一等地で駅近!
店舗は都内に7店(原宿、青山、銀座、表参道) 他に横浜、福岡、神戸、大阪、広島、名古屋など、現時点で全国に15店舗(番組では13店舗)展開中です。
フリーランスの美容師
「青山とか代々木公園とかでお店をやってたんですけど、家賃が高いですよね。そう思うと、こういう形のほうが楽です!」
2.好きな時間に働ける~店がないから拘束もない
システムは、契約する美容師が自分で予約を取って利用する完全予約制です。
ですから、美容師もお客さんも「予約した時間にお店で待ち合わせ」となります。
お店勤めの美容師なら、出勤してもお客さんが来るまで待機するのが普通ですが、こちらのシステムなら、無駄に拘束されないと言うわけです。
フリーランスの美容師
「前(お店勤め)は朝8時から夜の11時まで、毎日美容室にいたんですけど、今はその半分くらいですね」
番組
「プライベートは充実してますか?」
美容師
「はい、してます!」
3.増収と経費節減の両方が実現できるから儲かる!
美容師一人あたりのスペースはそれほど広くありませんが、一人ですべてをこなすにはかえって好都合です。予約客だけなので待合室がいらない、だから待っているお客さんの接待も不要です。(共有スペースには待合室があります)
カットから仕上げまで全部一人でこなせる人ばかり(フリーランスだから)なので、アシスタントは不要です。理美容業界で最も大きい経費は人件費、ここが抑えられるというわけです。
そして、上述のように店舗は一等地なので立地は文句なし。美容師の中には月の売上が250万円ある人もいます。
(サイトでは美容師一人の月商は45万円前後 *出処不明なためあくまで参考)
増収が見込め、なおかつ経費節減もできるので儲かる!という仕組みです。
フリーランスの美容師
「収入は以前の3〜4倍にはなりました。1人でやっているので、アシスタントに払うものがないぶん還元率が高い。また自分で集客しているので、そこを頑張れば、多くのお客様に来て頂けます」
▲ビジネスモデルを銀行員視点で見て思うこと
一等地に廉価な費用で店が持てる
増収と経費節減が実現できる
以上の理由で「GO TODAY SHAiRE SALON」が成功したことは納得できますし、将来性も感じられます。
そしてもう一つ、最も強みなのは「経営者が美容師」という点です。
社長、取締役とも美容師で、HPの社長メッセージも「僕ら美容師は」とあります。
この姿勢があるから、美容師のことがよくわかり、美容師のニーズを掴んでいるのです。
今後もこの方針を続けて欲しいと(理髪店の息子も)思います。
ただし追随が出てくると、その方針を維持するのは大変かも知れません。
また、会社利益を優先して、社長が美容師でなくなったら?と不安は残ります。
■面接なしですぐ働ける~スキマバイトアプリの「タイミ-」
・空いた時間に働きたい人と、すぐ人手が欲しい企業をつなぐスキマバイトアプリ
バイトアプリ「タイミ-」を運営している株式会社Taimeeは、東京都渋谷区にあるIT関連会社です。
主な業務内容は「インターネットメディア、アプリケーションの開発運営、各種コンテンツの企画制作」などで、もともとは人材派遣会社ではありません。
資本金は1億円 社員は60人 売上は20数億円(番組で社長談)です。
ちなみに小川社長はとても若く22歳、現役の大学生です。
バイトアプリ「タイミー」の利用者は80万人で、利用企業は8,000です。
<利用者数は会社数値、番組では100万人と紹介
URL https://timee.co.jp/ >
他のバイトアプリとの違いが当社の強み、番組ではその秘密に迫ります。
▲タイミー「3つの強み」~ほかのバイトアプリとちがうところ
<タイミー 3つの強み>
1. 面接なしで、すぐに働ける
2. お金がすぐもらえる
3. アルバイト先を事前に確認できる
1.面接なしで、すぐに働ける
一般的に、アルバイトを始めるときには応募、登録会、面接などを経て採用されるものです。たとえばコンビニのバイトも、その店や募集部署に連絡して面接、というのが普通の流れでしょう。
しかしタイミーにはそうした事前プロセスがありません。面接なしで本当に、すぐ働けるというのです。
これを実現させるため、面接なしですぐ働かせてくれる企業を選別していると思われます。また、企業側にも対応を統一するよう事前に綿密な打ち合わせや、禁止事項などを細かく取り決め、とにかく働き手を受け入れやすい環境づくりに注力しているとも推測されます。
番組
「本当に、すぐ働けるんですか?」
小川社長
「そうなんです。面接も、応募もないのがタイミ―最大の特徴です。本当に、今からでもいけますよ。1時間後とか。」
2.お金がすぐもらえる まるまるもらえる
仕事が終わるとすぐに報酬がアプリに反映され、24時間引き出しが可能です。
一般のアルバイトのような現金払いや振込ではなく、しかもすぐもらえるので、
トラブル(バイト代がもらえない 約束より少ないなど)の心配がありません。
また、いくら単発バイトでも、仕事が終わりバイト料を直接もらうなら
本人
「今日はありがとうございました」
お店
「お疲れ様でした。じゃあ、これが今日のアルバイト代です」
くらいのやりとりはあるでしょうが、若い人にはこれもおっくうに感じられるかも知れません。その点ではタイミーのほうが気楽だと思います。
またタイミーは無料アプリで、アルバイト応募から仕事をしたあとまですべてタダ、派遣会社のような登録料もないので、バイト代はまるまるもらえます。
3.アルバイト先を事前に確認できる
過去に働いた人のレビューがあるので、初めての場所でも安心して働けます。
主観や個人的感情もあり、レビューがすべて事実とは限りませんが、それでも経験談としては参考になりますし、不安も軽減されます。
またひどいレビューが続いたり、トラブルや問題が頻発したり、といった企業は登録を抹消されているはずなので、その点でも安心感があります。
(一般的に悪評は、主観を差し引いても結構あたっているものですから)
番組では、実際にスタッフがタイミーに登録した当日、すぐにアルバイトで働いた様子が紹介されています。
アルバイトは飲食店の配膳です。できあがった料理をテーブルまで運ぶのが仕事で、お客さんからオーダーされそうになると、他の店員を呼んでバトンタッチ。本人はオーダーをとりません。これならメニューや値段を覚える必要がないので、すぐ働けるというのも納得できます。
このように、タイミーは一日だけの単発バイト、初心者でも可能な仕事が多くあります。
番組では2例目で メガネスーパーのティッシュ配りをするヘアメイクアシスタントさんの様子も紹介されていました。
いっぽうで、技術や経験が必要な場合は、募集条件にハッキリ記載されています。アルバイト経験やスキル、得意なことなどを登録しておけば、それぞれの仕事と人がマッチする仕組みになっています。
▲ビジネスモデルを銀行員視点で見て思うこと
タイミーの強みについて銀行員視点で見た、利用者側とバイト先の会社側それぞれのメリットは次のようになります。
<利用者側のメリット>(上述)
1.本当に面接なしで、すぐに働ける
2.アプリの利用料はタダ。登録料もないので、バイト代は丸々もらえる
3.前に働いた人のレビューで事前にアルバイト先の様子がわかる
<バイト先会社側のメリット>
1.面接しなくても、タイミーが人材をある程度選別してくれるので安心
人材派遣会社と同じように、過去に問題やトラブルがあれば、アルバイト先から報
告があり、タイミーでも記録されているはずです。
2.人材派遣会社と料金水準は同じなので、余計なしがらみのないタイミーが便利
企業側の利用料はバイト代の30%相当で、一般的な派遣会社と同水準です。
それなら単発バイト限りのお付き合いで、余計なしがらみのないタイミーのほうが
便利で、使い勝手が良いでしょう。
3.優秀なら引き抜き自由
アルバイト先の店長
「いい人が来たなら、直接雇用に切り替えてもいい。引き抜いてもらっても構わ
ないというシステムがいいですね」
派遣会社でこれは無理でしょう。ここもタイミーの大きなメリットです。
お店では、単発バイトに来た人が実際に働いた様子を見て判断できますし、
働いた人は、職場の雰囲気がわかるので双方のニーズがマッチするわけです。
単発バイトでありながら、面接試験も兼ねているとも言えます。
・スキマバイトに将来性あり
「自分の空いた時間だけ働きたい」
「短時間でもいいので、安く気軽に雇いたい」
タイミーは、こうした双方のニーズが合致するので、スキマバイトに将来性を感じます。
またこの記事を書くためタイミーのクチコミを読みましたが、現在は昔と比べて働く人の意識が変わってきたことがわかりました。
<タイミーのクチコミその1>(一部を抜粋)
「~面接なしの1日バイトというシステムにはじめは怖さもありましたが、働く人とお店の需要と供給を満たす、満足度の高いアプリです。育成系ゲームのような感覚で、リアルにお金と就業時間が増えていくので楽しいです」
<https://osusume-baito.com/column/5526/>
アプリで好きなバイトを見つけたら、面接なしで自分にできることだけをやる。
お金のやりとりも、アプリ経由だからわずらわしさがない。
もう、アルバイトは働いてお金をもらうことではなく、ゲーム感覚なんですね。
公平になるよう、悪いクチコミも紹介します。
タイミーでは経験やスキルを登録しますが、これがうまくかみ合わないこともあるようです。
<タイミーのクチコミその2>(一部を抜粋)
「~お店の忙しさがピークになると、営業スマイルで迎えてくれた店長さんがイラつき始めたのを感じる。もともと冷たかった常勤スタッフ達からは、完全に無視され「使えないやつ」と見下されている状態。~もう2度とこんなアウェー感を味わいたくない!
~「他店で働いたことあるから、うちでもできるでしょ」という理屈は、ちょっと無理がある。やっぱり単発バイトは軽作業に限る」
< https://xn--eckvdwa3135ao50bg99a.biz/timee/ >
面接なし、余計なプロセスなし、も良い面ばかりではないようです。タイミー経由の人材が「使えない」という評判が拡がったり、あるいは問題を起こし、評判が落ちたりすることが不安要素だと思われます。
ここまでネガティブな感想を書きましたが、社長の志は高くさらに上を目指しています。
<引用
ひいお祖父ちゃんが偉大な実業家だったが、連帯保証人で会社が倒産したことを知り悔しさで涙が出て決意した。「世界に名を残して小川家の名前を復帰させる」と。
https://note.com/taimee/n/nc833f7b393f0
Taimeeは時間(Time)と目的(aim)を組み合わせた造語です。なので今は単発バイトのようなサービスをやっていますが、これは暇な時間の選択肢を増やすための一つの施策でしかないため、今後は「遊び場所・飲食店・エンタメ・ホテル・旅行・出会い」などの分野にて暇な時間をアプリで指定するだけで時間にあった情報が出てきて2タップでやりたいことができる世界を作っていきます。
https://www.wantedly.com/companies/Timee/post_articles/123160
引用 タイミーホームページ及び、社長の自己紹介記事等より >
この言葉を読む限り、決して軽薄な若者ではないと思えます。
銀行員は志の高い人が好きなので、応援したいと感じました。
■建設業を救ったニート~屋根施工の「南富士」
・屋根施工会社がニートを集めて職人に育てている
南富士株式会社は静岡県三島市にある外屋根施行、外壁の会社です。
屋根以外には、国内及びアジア圏の人材育成、活用事業も手がけています。
年商は63億円(2019年) 従業員は115名(会社HPより 資本金は未公表)
<南富士株式会社URL http://www.minamifuji.com/index.html >
杉山定久会長(*社長ではなく会長というのがポイントで、本文下部で触れます)
「住宅の屋根施行を、だいたい月1000棟ぐらいやっています。たぶん、日本で一番大きいし、アジアでも一番だと思います」
人手不足が問題の建設業界で、他にない視点で人集めしている南富士を紹介します。
▲ニートを屋根職人に育成
社会全体が人手不足で、建設業界は特に人手不足と働き手の高齢化が問題になっています。そこで、この会社はニートに目を付けました。
杉山会長
「ニートを集めています」
自社の人手不足に悩んでいた杉山会長は、日本全国にはニートが70万人以上いることを知り、そのニートを集めて屋根職人にすることを思いつきました。
そして自分のアイデアを伝えたところ、社内は全員(!)が反対したそうです。
しかし、その反応でかえって成功を確信したとのこと。
杉山会長
「社員は全員反対。でも全員が反対したら大体うまくいきますよ。何でもそうですね。前例がないですから」
笑顔で話す杉山会長ですが、自信があるからこそ、おそらくどれだけ反対されても初志貫徹したと思います。(実際、反対を押し切って成功しているわけです)
・人材募集で終わらせず、職人になれるまで会社が面倒を見る
働けない人(働きたくない人)をまず外に出して、働ける仕組みを作りました。
・「ニート引きこもり仕事チャレンジ」~職人育成2つのステップ
その仕組みの正式名称は「ニート引きこもり仕事チャレンジ(屋根職人養成プログラム)Roof Meister Program」
<「ひきこもっている」「働く自信がない」「コミュニケーションが苦手」など 生きづらさを抱える若者が『一流の屋根職人』となって社会的自立を目指す研修プログラムです。
会社HP http://www.minamifuji.com/rms.html#1 >
具体的には次のような内容になっています。
<ニート引きこもり仕事チャレンジとは?>
1. 参加費無料
2. 未経験者可
3. 生活支援金支給(研修期間中の金銭的援助や、住居費の補助もある)
4. 研修期間は3ヶ月
5. 社会人としての基礎技術習得(社会生活に慣れるための講義など)
6. 研修終了後正社員へ登用(原則)
・ステップ1.ニートに配慮した講義
まず、女性が教える講義からスタートしていきます。
最初は座学から、内容も「働くってどういうこと?」といったもの。
杉山会長
「男ではダメなんです。彼らがびっくりしちゃうから。怖いですから女性が担当するんですね、最初は」
・ステップ2.少しずつ日数、時間を増やしていく
研修時間は1回2時間、週に2日からスタートして、少しずつ増やしていきます。
杉山会長
「最初は2時間しかもちません。それ以上は体がもたないんです。今まで部屋にいましたからね」
研修中のニートの人
「最初は不安が大きくて自分にできるかな?と思ったけど、 実際にやってみたら新しい発見があって意外と楽しかったです」
・ニートには良い共通点がある
プロジェクトを始めてから、南富士では3年間で13人のニートが屋根職人になりました。
社員の鈴木さん
「ニートの人は、素直で真面目な性格が多いです。ひたむきに努力を続けてくれるので、努力した結果で自信がついて、続けられるのかな、と思います」
杉山会長
「彼らだけで50棟近く、1ヵ月間で屋根工事をしますので、会社は利益が出ますから大変いいです。若い人が入ってくると現場がすごい活性化できます」
ニートの登用という労働力としての「スキマ」を見つけた、というより働かないからニートなのに、その人達に働いてもらうという発想が成功のカギでした。
しかも、集まってくれたニートは素直で真面目、努力もしてくれる人種だった!という想定外の大成功だったわけです。
(*本来「ニート」にはネガティブなイメージもありますが、杉山会長の言葉にはニートの人への愛情が感じられるように思えたので、本文でもそのまま使いました。
南富士では「ニート」とは、とても良い言葉なんですね)
スタジオの会話
司会の加藤さん
「少しずつ慣らしていくというやり方は、スポーツでも一緒ですよね?」
原さん
「最初からできない目標を立てても、それは妄想にすぎませんので、できる半歩先の目標を掲げてやらせて、達成して喜びがでてくる。そしてまた半歩先の目標。ということの繰り返しだと思うんです。ですから社長さんのやり方は最適なものですよ!」
▲ビジネスモデルを銀行員視点で見て思うこと
会社ホームページをみると、もともと屋根施行の会社が人の大切さに気づき、いろいろ新しい挑戦をしています。
ご紹介した「ニート引きこもり仕事チャレンジ」以外にも、海外で2つ人材に関する事業を展開しています。
「ベトナムに、大卒後日本で働ける人材育成職業訓練校を作った」
「中国、ベトナムでエリート層を集めた経営者私塾を作った」
・でも、心配なことが2つあります
銀行員視点で見ると、心配なことが2つあります。
1つ目は、今の精神を維持できるか?です。
人の大事さに気づき、アジア圏の人材発掘や、ニートを日本社会に活かすという高邁な精神を持っている会社ですので、ぜひ今後もその精神を維持して欲しいと思います。
ニートの人達はいろいろな面で不慣れ、弱みがあり、そこをフォローしているからこそ今の成功があるわけです。
業況不振などにより、ニートへの接し方は変えないで欲しい、間違っても中間搾取などと言われないよう願っています。
2つ目は、代替わりが心配です。
テレビで取材に応じたのは会長です。会社組織図では同じ名字の社長がいますので、おそらく子供に社長職を譲っている筈ですが、ホームページの経営者挨拶も、そして今回のような取材もすべて会長が前面に出ています。
これは創業社長にありがちで、同時に中小企業でもありがちなパターンです。
こうした企業で最大の課題は、跡継ぎに引き継ぐタイミングです。
「老害」にならないよう、また創業者のカリスマ性など属人的部分に頼りすぎると、その人が死亡した途端に、会社の屋台骨が崩れることがあります。
銀行員として、私はそういう会社をいくつも見てきました。
南富士はそうならないよう、ぜひ対策をして欲しいと感じました。